中之条ビエンナーレ

今回1回目って事らしいんだけれど、基本的には
展示場所としての魅力は昭和前半のノスタルジー
の残りまくりの建物、豊かな里山。そんな所であ
ろうか?そういった中に現代美術を組み込むって
いうのがビエンナーレ自体のコンセプトでしょう
か?果たして建物は確かに面白くて、廃校の跡と
か寂れた公民館跡、養繭時代の農家とか写真的に
も写欲が湧くっていうか、人の手触りが残ってい
てかなり撮れる。最も提示用のスペースでないの
は確かだから、そういう意味では厳しいモノもあ
るんだけれど、展示している方々もそういった空
間を面白がってやってるみたいだから、まあいい
んじゃないでしょうか?2年ごとだから継続して
いって欲しいものです。
作品的には比較的若い方のものが多くて、制作の
悩みがよく出ているものが多かったと思うけど、
全体的に質は悪くなくてビエンナーレの名に恥じ
ないレベルだったと思う。勢いのある作品も多い
惜しむべきはビデオ、写真、サウンドアートの類
がないって事だけれど、まあ一回目という事で・
・・あと、もっと生活空間へ食い込んでもいい。
小さな町でもあるし、街全体をキャンバスとする
作品があるべきでしょう。
-
オレ的に今回の御勧めとしては「廣盛酒造」会場
のロケーションの面白さと作品としては清水氏の
能面と鈴江さんの彫塑。ここは全般に面白い。
「岩本公民館」の作品もそれぞれ面白い。佐藤さ
んの蝶は女の執念みたいなもので実に恐ろしいし、
平野さんのコンセプトも面白い。米倉氏の写真作
品は自分的には今回一番面白い、破壊される価値
とそれによって想像される価値、本来写真が求め
るべきものだという気がする。棚氏の段ボールの
MSジムは面白いけど微妙。でこのチームは建物内
面を白く塗ったりして見せる為の空間作りについ
ても意欲的。この2カ所は外しては駄目かもね。
-
絵画についてはあちこちに良作があったと思うの
だけれど、基本的に抽象なんでボリュームがある
から慣れてないときついかもしれない。じっくり
見ないとよくわからないものだし。。それにして
群馬県の抽象への寛容というのは特筆すべきも
のであって、抽象的な作品は結構至る所にある。
メモ的に「富沢家住宅」の武藤さん、「伊参スタ
ジオ公園」の石黒さん、佐藤氏が力があった。そ
して今回の収穫としては、こういった現代美術の
フィールドでの絵画というのは基本的にコンセプ
ト重視なのであって、そういった意味では既に写
真と差がないという事でもある。正直オレと同じ
ものを求めている様な作品もあったし、オレの眼
が育ってるのかもしれないけれど、面白いな〜。
と感じるものばかりだった。ここにジャンクロー
ドウォータースの写真があっても何の違和感もな
い。あと写真もやっぱりでかくないと駄目だなあ
・・・。